2007 年 68 巻 7 号 p. 1731-1735
症例は71歳の男性で, 突然の腹痛で受診した. CTで腹腔内出血を伴う10cm大の骨盤内腫瘤を認め開腹手術を施行した. 回盲弁より30cmに自壊した腫瘤を認め, 小腸腫瘍破裂による腹腔内出血と診断し小腸部分切除術を施行した. 切除標本は最大径5cmの粘膜下腫瘍が漿膜面で破綻し, 4cm大の腫瘍が半球状に残存した状態であった. 免疫染色でc-kit, CD34陽性でありgastrointestinal stromal tumor (以下GISTと略記) と診断した. 術後7カ月後のCTで20cm大のGISTの局所再発, 腹腔内出血と診断し, 再手術を施行した. 腫瘍は血腫と混在して巨大な腫瘤を形成し, 周囲の腸間膜, 大腸に浸潤しており, 腫瘍と血腫を掻把する形で切除した. 術後よりイマチニブを投与したが局所再発, 肝転移を認め, 初回手術より9カ月後に永眠された.