日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性下行結腸穿孔の1例
塩井 義裕下沖 収皆川 幸洋阿部 正上杉 憲幸中村 眞一
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2007 年 68 巻 7 号 p. 1740-1743

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抄録

症例は72歳, 女性. 排便後の左下腹部痛で発症し, 当院を受診した. 筋性防御を認め, 腹部CT検査で左腸腰筋に沿った気腫像を認めたため, 下部消化管穿孔の診断で緊急手術を行った. 下行結腸の後腹膜側で3cmの穿孔を認め, 下行結腸部分切除および人工肛門造設術を行った. 病理組織像では粘膜, 筋層の急峻な断裂があり, 急性炎症所見のみを認め, 憩室, 腫瘍, 炎症性腸疾患, 虚血性変化などの所見は認めなかった. 以上から特発性下行結腸穿孔と診断した. 術後に創感染や腹腔内膿瘍を併発したが, 術後68日目に退院した. 特発性下行結腸穿孔は稀ではあるが, 予後不良であり, 迅速な診断および治療が必要である.

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© 2007 日本臨床外科学会
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