日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断に難渋したhepatic peribiliary cystの1例
大西 顕司石田 誠飯田 敦片山 寛次山口 明夫今村 好章
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2007 年 68 巻 7 号 p. 1775-1780

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抄録

症例は61歳, 男性. 近医にて肝左葉の嚢胞状病変を指摘され精査目的に紹介入院した. 腹部超音波検査, CTにて肝左葉グリソンに沿った嚢胞性病変の多発と, 末梢胆管の拡張を認めた. 内視鏡的逆行性胆管造影にて左肝管の狭窄と末梢胆管の不整な拡張蛇行を認めたが, 嚢胞性病変との交通は認めなかった. 画像上明らかな腫瘤性病変は認めなかったが, 肝内胆管癌などの悪性腫瘍を否定できず, 肝左葉切除術を施行した. 嚢胞性病変はグリソン領域内に限局し最大1.5cmまでの大小様々な嚢胞の集簇からなっていた. 組織学的には一層の立方上皮に裏打ちされ, 周囲に胆管付属腺の増生と線維化を認めたが腫瘍性変化は認めずpeibiliary cystと診断された. peibiliary cystは比較的稀な疾患であるが, 本症例のように胆道狭窄をきたす報告もあり, 肝内胆管の疾患の鑑別診断の1つとして念頭に置く必要がある.

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© 2007 日本臨床外科学会
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