2008 年 69 巻 12 号 p. 3140-3144
症例は75歳,女性.平成10年頃より左上腹部に腫瘤を自覚していたが,放置していた.平成16年12月,心窩部痛と嘔気を自覚.近医にて精査を行ったところ,胆石と左上腹部に巨大な腫瘤を指摘され,当院消化器内科を受診.CTにて胆石および隔壁形成と石灰化のある造影効果の乏しい約10cm大の腫瘤を認め,当科紹介となった.
手術は,まず腹腔鏡下にて胆嚢摘出術を施行.その後左側腹部を開腹し,肋骨・胸腹壁ならびに横隔膜の合併切除を行い,腫瘤を摘出した.横隔膜は直接縫合閉鎖を行い,胸腹壁欠損部はComposix Kugel Patch®(14cm×18cm)を使用して再建した.
病理結果は,肋骨原発の軟骨肉腫であった.術後約3年経過した現在でも無再発生存中であり,Patchの感染も認めず,またPatch挿入部は,外見からはほとんどわからず,違和感無く過ごされている.