日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内出血で発症した脾原発血管肉腫の1例
原田 勝久野口 琢矢久保 宣博野口 剛
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キーワード: 脾血管肉腫, 腹腔内出血
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2008 年 69 巻 12 号 p. 3272-3275

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抄録

症例は75歳,男性,気分不良で前医を受診し,腹部CT検査にて脾臓破裂,腹腔内出血,出血性ショックの診断にて当院に搬送された.腹部造影CT検査,緊急血管造影を行い,脾動脈塞栓術を施行した.全身状態の改善後にMRI検査を行い,脾血管肉腫が疑われ,脾臓摘出術を施行した.摘出標本は大きさ16×15×8cm,重量800g,病理学的,免疫組織学的所見より,脾原発血管肉腫と診断した.術後早期に肝転移が出現し,術後3カ月でDIC,癌性腹膜炎にて死亡した.本症は,予後不良な疾患であり,有効な集学的治療も確立されていないため,脾腫および脾腫瘍の鑑別診断の際には,稀ではあるが血管肉腫を念頭に置くべきであると考えられた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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