抄録
症例は65歳,男性.2年ほど前から肝嚢胞と分枝型膵IPMNを経過観察中であったが,今回の超音波検査にて肝嚢胞の増大と壁の不整肥厚,およびCT,MRIでは多房性で不整形な嚢胞を認めた.膵頭部の分枝型IPMNは画像上明らかな悪性所見を認めなかった.また,FDG-PET検査で肝嚢胞に腫瘍を疑う集積を認めた.以上よりIPMNに併存した肝嚢胞腺癌の診断で肝左葉切除術を行った.嚢胞内部には凝血塊や粘液様物質が充満しており一部嚢胞壁の肥厚を認めた.病理組織学的には腺腫様の部分と高分化型腺癌を認め肝嚢胞腺癌と診断された.肝嚢胞腺癌は比較的稀な疾患であり,IPMNに併存した肝嚢胞腺癌の報告は検索したかぎりでは認められない.極めて稀な症例と思われるため若干の文献的考察を加え報告する.