抄録
症例は57歳,女性.うつ病にて過食と臥床を繰り返していた.朝食後口腔内に食物を充満させ窒息し,痙攣を起こしているところを発見され,救急搬送された.来院時意識レベルはIII-100(JCS),口腔内容物は既に除去されており,チアノーゼがあるものの自発呼吸を認めた.胸部では湿性ラ音を聴取し,腹部は膨満あるも筋性防御はなかった.胸部X線検査では両肺野に淡い浸潤影と大量の腹腔内遊離ガス像を認めた.誤嚥性肺炎を合併した消化管穿孔と診断し,直ちに手術を施行した.開腹すると胃体上部小彎側に縦走する約5cmの穿孔を認めた.穿孔部に潰瘍や腫瘍等の器質的疾患を認めず,特発性胃破裂と診断し一期的に縫合閉鎖した.自験例は過食による過膨張胃に,嘔吐や痙攣に起因した急激な胃内圧上昇が加わり,小彎側が破裂したものと考えられた.