日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断し緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した胆嚢捻転症の1例
木村 準関戸 仁澤田 雄清水 哲也松田 悟郎高橋 俊毅
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2008 年 69 巻 4 号 p. 886-890

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抄録
症例は58歳,女性.上腹部痛,嘔吐が出現し当院緊急入院となった.上腹部に自発痛,圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった.入院時検査所見ではWBC 13,200/μl,CRP 0.2mg/dlと軽度炎症反応を認めるのみで肝機能障害,胆道系酵素の上昇は認めなかった.腹部超音波検査では胆嚢は正中へ偏位し,胆嚢管は描出されなかった.腹部造影CT検査では胆嚢が腹部正中に偏位し,胆嚢壁の造影は認めなかった.以上より胆嚢捻転症と診断し,緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢はGrossI型の遊走胆嚢で反時計回りに180度回転しており,胆嚢捻転症による壊疽性胆嚢炎をきたしていた.胆嚢捻転症をきたす症例は遊走胆嚢であり,腹腔鏡下胆嚢摘出術はよい適応であると考えられる.
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© 2008 日本臨床外科学会
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