日本臨床外科学会雑誌
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原著
十二指腸に浸潤した結腸癌10例の診療経験
丸山 浩高関谷 正徳森岡 祐貴岡田 隆雅酒向 猛
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2008 年 69 巻 5 号 p. 1009-1014

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抄録

当院で経験した十二指腸浸潤結腸癌10例について,根治度A手術を施行した4例(以下A群),根治度C手術を施行した4例(以下C群),手術を行わなかった2例(以下N群)に分けて検討した.術前臨床所見は各群に差がなかった.結腸右半切除兼膵頭十二指腸切除術が2例に,結腸右半切除兼十二指腸部分切除術が6例に施行された.十二指腸部分切除部には横軸縫合閉鎖術(4例)と十二指腸空腸側側吻合を伴うRoux-Yダブルトラクト再建術(2例)を行った.十二指腸浸潤の術前診断は10例中7例に可能であったが,上部消化管内視鏡で異常のない症例はCTなどの画像検査でも明らかな浸潤ありとは診断しえなかった.進行度は,A群ではstageIIが2例,IIIaは2例であり,C群ではstageIIが1例,IVは3例であった.N群は2例とも画像診断上StageIIであったが,手術希望がなく非手術となった.A群では2例が平均17カ月(以下M)で原病死したが,2例が40Mと53M無再発生存中である.C群では平均5.8Mで,N群では平均1.5Mでそれぞれ全例が原病死した.十二指腸浸潤結腸癌でも根治度A手術を施行できれば予後の良い場合がある.これに対し,根治度C手術に終わった症例や非手術であった症例は予後不良であった.

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© 2008 日本臨床外科学会
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