2008 年 69 巻 5 号 p. 1015-1018
癌終末期における消化管閉塞は,消化器癌ならびに婦人科領域の癌患者に発生しやすく,約3%の頻度に達するという報告がある.消化管閉塞に伴う悪心・嘔吐等の症状は,患者に苦痛を与えるだけでなく,QOLを著しく低下させる要因となる.これに対し酢酸オクトレオチドは消化管外分泌の抑制作用,ならびに水および電解質の吸収促進作用を有し,癌終末期患者の消化管閉塞症状に対する有効性が確立されている.しかし約40~50%の症例に無効であったという報告もあることから,酢酸オクトレオチドの適切な投与開始時期の決定が終末期癌患者のQOL向上につながるものと考えられる.われわれは消化管閉塞症状を伴う進行胆嚢癌患者において,酢酸オクトレオチドの適切な投与により,在宅日数を大幅に延長できた症例を経験したので報告する.