日本臨床外科学会雑誌
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症例
壁外に有茎性発育した巨大胃GISTの1例
神宮 和彦望月 亮祐森 幹人
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キーワード: 胃GIST, 壁外発育, 有茎性発育
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2008 年 69 巻 5 号 p. 1058-1064

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抄録

症例は81歳,女性.腹部腫瘤を主訴に当科受診.左上腹部に15cm程の弾性硬,可動性の腫瘤を触知した.腹部CTで胃後壁と接し嚢胞を有する腫瘤を認めた.腫瘤は不均一に淡く造影され,前額断像で胃体上部後壁と茎でつながっていた.以上より壁外に有茎性発育した胃GISTと診断し開腹した.腫瘍は胃体上部後壁と径1.5cm,長さ1.5cmの茎でつながり,茎付着部より2cm離し自動縫合器を用い胃部分切除にて腫瘍を摘出した.摘出腫瘍は16×13×12cm,暗赤色,凹凸不整で,割面は乳白色と暗赤色の成分が混在し,一部に嚢胞を認めた.腫瘍は紡錘細胞からなり,核分裂像が散見された.腫瘍細胞は免疫染色でKITとCD34が陽性でGISTと診断された.術後22カ月再発認めず経過観察中である.壁外有茎性発育した胃GIST本邦報告例は27例と少ないが,これらの予後は良い傾向にあることが推測された.

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© 2008 日本臨床外科学会
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