日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳糜腹水を伴った絞扼性イレウスの1例
亀井 奈津子櫻井 丈片山 真史須田 直史月川 賢大坪 毅人
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2008 年 69 巻 7 号 p. 1683-1686

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抄録

症例は64歳,男性.嘔気と次第に増強する腹痛を主訴に近医を受診し,絞扼性イレウスと診断され,当院へ搬送された.来院時,意識清明であったが,腹部全体が膨隆し左側腹部に圧痛を認めた.腹部CT検査で,肝周囲から膀胱直腸窩にかけて多量の腹水を認めた.また,上腸間膜動脈を中心に腸間膜が約180度回転しており,絞扼性イレウスと診断し,同日緊急手術を行った.開腹時,約1,000mlの乳糜様腹水を認め,上腸間膜動脈を軸に時計軸方向に約180度捻転していた.小腸はやや紫色に変色し,小腸腸間膜内に乳糜様の液体貯留を認めた.捻転解除後速やかに小腸の色調は改善し,腸間膜内の乳糜様液体貯留も改善した.術後経過は良好で第10病日に退院した.

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© 2008 日本臨床外科学会
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