抄録
症例は79歳,女性.主訴は労作時動悸・胸痛.上下部消化管内視鏡検査,出血シンチ,CTにて異常を認めず,小腸内視鏡検査にて口角より約270cmの空腸に径約20mmの可動性のある易出血性の有茎性隆起病変を認めた.細胞診の結果は肉芽組織と炎症細胞を認めるのみであった.診断・治療のため小腸部分切除を施行.病理組織学的には表面にびらんがあり,浮腫状の間質中に大小の血管増生を認め,一部では分葉状に血管増生がみられpyogenic granuloma(化膿性肉芽腫)と診断した.本疾患の口腔粘膜以外の消化管発生の報告は極めて稀であり,消化管全体の本邦報告例は29例でそのうち空腸発症例は自験例を含め3例のみであった.大量下血例,再発例も報告されており,完全切除と経過観察が必要で,原因不明の消化管出血においては本疾患も念頭に置いておくべきと考える.