日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
多発した原発性非特異性小腸潰瘍の1例
荒居 琢磨松下 明正久保 周熊木 俊成春日 好雄上原 剛
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 69 巻 7 号 p. 1691-1696

詳細
抄録
原発性非特異性小腸潰瘍は比較的稀とされる.今回,われわれは穿孔性腹膜炎をきたした多発した原発性非特異性小腸潰瘍の1例を経験したので報告する.症例は81歳,女性.主訴は上腹部痛.2005年3月初旬に急な上腹部痛を訴え来院した.腹部単純X線検査にて右横隔膜下に遊離ガス像を認めたため,穿孔性腹膜炎の診断にて同日緊急手術を施行した.Treitz靱帯より180cm肛門側の小腸に変形・狭窄を認め,同部位の小腸間膜付着部対側に,3mm大の穿孔を認めた.その他,Treitz靱帯より250cm,320cm肛門側にもそれぞれ潰瘍による変形・狭窄があり,小腸部分切除術が施行された.切除標本では境界明瞭な下掘れ傾向を示す潰瘍を認めた.臨床経過および病理組織学的所見で特異的炎症および腫瘍性病変を疑う所見はなく,原発性非特異性小腸潰瘍と診断した.本症例は,潰瘍がいずれも等間隔に小腸間膜付着部対側に発生しており,微小循環不全の関与が示唆された.
著者関連情報
© 2008 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top