日本臨床外科学会雑誌
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症例
左外鼠径ヘルニアの手術によって診断された悪性腹膜中皮腫の1例
藤井 雅和森重 一郎岡崎 嘉一野村 真治友澤 尚文濱野 公一
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2008 年 69 巻 7 号 p. 1809-1813

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抄録
症例は68歳,男性.主訴は左鼠径部腫瘤.平成19年9月上旬のCTで,胸膜の石灰化を伴う肥厚と,腹水貯留を認めた.胃十二指腸ファイバー,腹部超音波検査は異常なく,また還納不可能な圧痛を伴う左鼠径部腫瘤があり,左鼠径ヘルニアの大網嵌入と診断された.職歴で38年間のアスベストの暴露があった.癌性腹膜炎の可能性を疑われたが,術前検査で原発巣を認めず,消化器癌の腫瘍マーカーも陰性であり,腹水の精査と左鼠径ヘルニアの治療のため,手術を施行した.多量の漿液性腹水を認め,細胞診に提出した.ヘルニア嚢および腹腔内に大小多数の結節を認め,癌性腹膜炎を呈していた.定型的にヘルニア根治術を施行した.細胞診はGroupVであり,病理組織学的診断は二相性の悪性腹膜中皮腫であった.現在pemetrexed sodium hydrate(アリムタ®)+cis-diammine dichloro platinum(CDDP)の投与を施行中である.左外鼠径ヘルニアの手術によって診断された悪性腹膜中皮腫の1例を経験した.
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© 2008 日本臨床外科学会
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