日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃全摘術後に発症したtoxic shock syndromeの1例
柏木 伸一郎松岡 翼須浪 毅澤田 隆吾阪本 一次山下 隆史
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2008 年 69 巻 8 号 p. 1906-1910

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抄録

68歳,男性.検診の上部消化管内視鏡検査にて胃体上部小彎側に粘膜不整病変を認め,生検の結果は低分化腺癌であった.術前の全身状態は良好であり,画像検査所見上も他臓器に転移は認められなかった.手術目的にて当院入院,入院3日目に開腹胃全摘および2群リンパ節郭清術を施行した.CEZ(セファメジン)を術後3日間感染予防投与していたが,術後1日目より高度の白血球・CRPの上昇および熱発を認め,術後3日目より血圧が低下しショックとなった.抗菌薬をPAPM/BP(カルベニン)へ変更するも術後4日目よりARDSとDICを併発し,術後5日目に創周囲に発疹が出現した.感染創の膿よりMRSAが検出された.MRSAはtoxic shock syndrome toxin-1産生株であり,toxic shock syndromeと診断した.抗MRSA薬投与により状態の改善がみられ救命しえた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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