日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
イマチニブによる2年間の化学療法後,切除した胃原発巨大GISTの1例
仲田 和彦河合 庸仁佐久間 康平奥村 徳夫吉田 滋阪井 満森 良雄
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 69 巻 8 号 p. 1915-1919

詳細
抄録

症例は63歳,女性.吐血にて救急受診.CT等の画像診断,生検にて左上腹部を占拠するGISTと診断された.胸腔内への浸潤が強く疑われるため手術困難と判断し,イマチニブ400mg/日の投与を開始した.投与8週後において胸水の消失,28週後には腫瘍は表面の凹凸不正が改善,全体に5cm前後縮小しており,縮小率は概算で約30%であった.以後2年間継続,その間腫瘍径の縮小はわずかとなったが,胸水の再貯留などもなく,腫瘍内部の変性所見など,持続した効果が認められた.投与100週を越え,イマチニブ二次耐性出現等を考慮し,2008年1月手術施行.腫瘤および腫瘤の原発である胃穹隆部を切除,脾摘および浸潤固着していた肝,心嚢,横隔膜の部分切除を施行した.第21病日退院.退院後イマチニブ投与中である.その経過と,本症例を含むGISTの治療について,今後の展望について考察をくわえ,報告する.

著者関連情報
© 2008 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top