日本臨床外科学会雑誌
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症例
Gemcitabine投与による横紋筋融解症が疑われ入院治療が必要であった胆管癌の1例
森本 大樹味木 徹夫藤田 恒憲新関 亮松本 逸平具 英成
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2008 年 69 巻 8 号 p. 2097-2101

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抄録

69歳,女性.黄疸を主訴に近医受診し肝門部胆管癌と診断され,精査加療目的にて当科紹介入院となったが,肝転移を認めたため手術適応外と判断し,gemcitabine(GEM)を投与開始し外来継続投与を行った.投与開始後148日目に下肢脱力感を訴え,両側下肢近位筋の軽度筋力低下を認めたが,血液検査で異常なく経過観察となった.しかし,両下肢疼痛・筋力低下が進み,投与開始後162日目に両下肢疼痛・近位筋筋力低下,発熱,乏尿を主訴に当院救急外来受診となった.血液検査で炎症反応,筋原性逸脱酵素の上昇を認め,急性腎不全の所見で入院となったが,安静,輸液にてcreatine kinase(CK)は低下を示し,利尿を得た.疼痛,筋力低下は徐々に改善し入院後13日目からリハビリテーションを開始し,症状発現後約2カ月で症状消失した.原因精査の結果,GEMによる横紋筋融解症が最も強く推測された.

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© 2008 日本臨床外科学会
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