日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆道出血,胆管炎をきたした胆嚢癌の1例
小澤 さやか阿部 恭久花田 裕之
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キーワード: 胆嚢癌, 胆道出血, 胆管炎
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2008 年 69 巻 9 号 p. 2357-2361

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抄録

症例は93歳,女性.胸部不快感,嘔吐を主訴に近医を受診.胆嚢炎,総胆管結石の疑いで当院に紹介された.体温38.2°C,右季肋部に圧痛があり,血液検査では肝逸脱酵素と胆道系酵素の上昇,血小板減少,貧血を認めた.腹部超音波・CTで,腫大した胆嚢と総胆管・肝内胆管の拡張を認め,胆嚢内腔および総胆管内に不整形の高吸収域を認めた.ERCPでは,十二指腸乳頭部から血性胆汁の流出と,総胆管に陰影欠損を認め,PTCDで血性胆汁がドレナージされた.以上より胆道出血を伴った急性胆嚢炎,胆管炎の診断にて,入院当日,胆嚢摘出術を行った.胆嚢は腫大,緊満していた.摘出した胆嚢を切開すると内腔には血液が充満しており,15×13mmの隆起性病変が認められた.病理組織診断は高分化型管状腺癌であった.胆道出血を伴う胆嚢癌の報告は少ないため文献的考察を加え報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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