日本臨床外科学会雑誌
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症例
横行結腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例
本郷 久美子川口 米栄久保田 芳郎
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2008 年 69 巻 9 号 p. 2408-2412

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抄録

症例は73歳,女性.若年時より自然軽快する上腹部痛等の症状を自覚していた.平成19年7月20日,上腹部痛の急性増悪により当院外来を受診.受診時,腹部に強い圧痛を認め,板状硬の状態であった.CT上,左上腹部に拡張した小腸を認め,その壁は造影効果を認めず,血流障害が疑われた.内ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し,緊急開腹手術を施行したところ,横行結腸間膜に約5cmの裂孔が存在し,網嚢内へ空腸が約1mにわたって脱出,嵌頓しており壊死をきたした状態であった.壊死腸管を切除,吻合し,横行結腸間膜裂孔は縫合閉鎖した.術後経過は良好で,術後19日目に退院した.内ヘルニアは絞扼性イレウスの1.2%とされ,その中でも横行結腸間膜裂孔ヘルニアはさらに少ない.報告例を比較すると腹部不定愁訴の既往があることが多く,診断にはCT上で網嚢腔への腸管の脱出が有効な所見となる.われわれはこの稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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