日本臨床外科学会雑誌
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症例
柿の種子の誤飲によるS状結腸憩室穿孔の1例
北野 義徳田中 晃井上 潔彦船井 貞往
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キーワード: 種子, 消化管穿孔, 大腸憩室
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2009 年 70 巻 11 号 p. 3370-3374

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抄録

症例は82歳,女性.左下腹部痛を主訴に来院.腹部CTでS状結腸にhigh densityな異物像を認め,遊離ガスおよび腹水貯留を認めた.異物によるS状結腸穿孔と診断し,腹膜刺激症状を認めることから緊急開腹術を施行した.S状結腸に5mm大の穿孔を認め,穿孔部直下に異物を触知した.異物を摘出したのち,S状結腸部分切除,人工肛門造設術を施行した.切除標本では穿孔部と連続した部位に憩室が存在し,また術後の問診で柿を種子ごと摂取したことが判明したことから,柿の種子によるS状結腸憩室穿孔と診断した.種子による消化管穿孔は本邦においてこれまで2例の報告しかなく,非常に稀な症例であり,文献的考察を加えて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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