日本臨床外科学会雑誌
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症例
20年間で2回の腹腔内再発をきたした卵巣顆粒膜細胞腫の1例
藤 浩明水野 礼森 友彦伊東 大輔古元 克好小切 匡史
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3689-3693

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抄録

症例は72歳,女性.20年前に右卵巣破裂にて子宮全摘術および両側付属器切除術,10年前に骨盤腔の腫瘍(病理診断は滑膜肉腫)に対して腫瘍摘出術の既往がある.下腹部違和感を主訴に外来受診し,画像検査にて腹腔内腫瘍を認めたため,滑膜肉腫の再発と考え腫瘍摘出術を行った.しかし病理検査の詳細な検討によって今回の腫瘍組織は20年前の卵巣破裂の原因であった卵巣顆粒膜細胞腫と同様の組織であることが判明し,最終的には今回の腫瘍は卵巣顆粒膜細胞腫が10年後に腹腔内再発し,再発巣摘出後更に10年後に腹腔内に再再発したものと考えられた.婦人科疾患の既往がある患者の腹腔内腫瘍においてはたとえ年数がたっていても顆粒膜細胞腫の再発などの婦人科疾患に関連した病変も鑑別診断に入れるべきである.

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© 2009 日本臨床外科学会
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