日本臨床外科学会雑誌
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症例
神経を温存して摘出した大腿神経原発後腹膜神経鞘腫の1例
河村 史朗西向 有沙安田 貴志島田 悦司奥村 修一
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2009 年 70 巻 2 号 p. 583-587

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抄録

症例は68歳,女性.右下腹部腫瘤を主訴に当科受診,右下腹部に9cm大の腫瘤を触知,圧迫により右大腿前面に放散痛を認めた.腹部CT,超音波,MRI検査では骨盤内に境界明瞭な腫瘤を認めた.大腿神経原発後腹膜神経鞘腫を強く疑い,手術を施行した.腫瘍は腸腰筋の腹側に位置し,大腿神経を腹側に圧排,一部癒着していた.腫瘍を大腿神経より慎重に剥離し,摘出した.術後は右大腿前面に軽度の知覚鈍麻を訴えたものの,数日間で消失した.病理組織学的には良性神経鞘腫であった.大腿神経原発後腹膜神経鞘腫の摘出時においては神経切除により術後に軽度でない神経障害をきたすため,術前および術中に悪性所見を認めない限り神経を温存すべきであると思われた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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