日本臨床外科学会雑誌
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原著
乳房超音波エラストグラフィの診断的意義に関する検討
細田 充主高橋 將人高橋 弘昌藤堂 省
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2009 年 70 巻 3 号 p. 645-649

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抄録

乳房超音波エラストグラフィは非侵襲的診断方法として徐々に普及が進んでいるが,その診断的位置づけは未だ明らかにされていない.2006年11月から2007年11月に当科にてエラストグラフィを施行した72乳腺腫瘤(良性31腫瘤,悪性41腫瘤)を対象にその診断的意義を検討した.機器は日立メディコ製のEUB-7500を使用し,判定にはTsukuba elastography scoreを用いた.平均スコアは,良性腫瘤1.8±0.9,悪性腫瘤3.7±1.3(p<0.001)でスコア4以上を悪性と判定すると,感度は70.9%,特異度は90.3%であった.同時に評価したB modeカテゴリー判定では感度が97.6%,特異度は58.0%であり,エラストグラフィが特異度において良好であった.感度は腫瘤径大,浸潤癌,組織学的高gradeの腫瘤で高い傾向がみられた.乳房超音波エラストグラフィは,B modeに比べて感度は劣るが,特異度は優れていた.単独では悪性疾患の確定にはやや不適当であるが,B mode画像に併用することにより良性疾患の判別が可能となり,無駄な生検の回避には有用である.

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© 2009 日本臨床外科学会
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