抄録
はじめに:胃癌骨転移の頻度は少ないが,quality of lifeを著しく悪化させるため,その特徴を知ることは重要である.対象と方法:1991年から2007年までに当科で経験した初発胃癌で,手術あるいは化学療法を施行した1,084例のうち骨転移を呈した16例を対象とした.16例の臨床像と予後因子,骨転移単独症例の臨床像,本邦報告例について検討した.結果:骨転移症例は比較的若年の女性,U領域,4型,未分化型,脈管侵襲やリンパ節転移の高度な進行癌が多かった.骨転移発症までの期間は中央値266日(23~1,579日)であった.骨転移発症からの生存期間は中央値102日(8~310日),6カ月生存率は42%と不良であったが,1980年代の報告と比較すると良好であった.骨転移発症後の予後因子として単変量解析で女性,66歳以上の高齢,PS不良例,化学療法非施行例が挙げられた.多変量解析では年齢,PS,化学療法の有無が独立した予後因子となった.骨転移単独症例は4例で原発巣の悪性度が低いにもかかわらず,リンパ節転移の高度な症例が多かった.骨転移後の治療法では9例に化学療法が施行され,TS-1を中心として多剤を投与できた症例の生存期間は比較的良好であった.結語:骨転移症例の特徴を十分に理解し,早期発見から化学療法を施行することにより,予後が改善する可能性が示唆された.