抄録
症例は80歳,男性.1週間前から腹痛,発熱あり.徐々に増強するため当院受診.臍周囲に強い圧痛と筋性防御を認めた.WBC 17,080,CRP 17.75と強い炎症反応を認め,CTにて腹部正中に内部air-fluid levelを有する12cm大の腫瘤を認めた.原因不明の腹腔内膿瘍と診断し,抗生物質による保存的治療を開始したところ翌日には炎症反応の低下を認め腹痛も軽快した.しかし11日目に腹痛が増悪し,CTにて膿瘍の増大を認めたため緊急手術を施行した.膿瘍は小腸から発生した15cm大の嚢胞状の腫瘍であり,腫瘍を含めて小腸切除を行った.割面では壁は薄く内部には壊死組織を認め,小腸と瘻孔を形成していた.病理組織では短紡錘形,類上皮型の腫瘍細胞が束状,シート状に増殖しており,免疫染色ではc-kit陽性でGISTと診断した.腫瘍内に膿瘍を形成したGISTの報告は稀なため,文献的考察を加えて報告する.