抄録
症例は39歳,男性.発症14年の潰瘍性大腸炎,全大腸炎型,再燃緩解型.発症12年のサーベイランス大腸内視鏡検査では,cancer,dysplasiaは指摘されなかった.発症13年の注腸検査でも異常は指摘されなかった.発症14年目に腸閉塞を伴うS状結腸の狭窄を指摘され,転院となった.炎症反応の上昇,筋性防御が存在し,同日結腸全摘術を行った.閉塞性S状結腸癌で,腸間膜に多数の腹膜播種を伴いstageIVであった.病理学的には周囲にdysplasiaを伴うsignet ring cell carcinomaであった.注腸検査はサーベイランスには有用でなく,colitic cancerには急速に進行する悪性度の高い症例に留意する必要があると思われた.サーベイランス大腸内視鏡後,2年で進行大腸癌を合併した,colitic cancerの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.