抄録
症例は74歳,女性.46歳時発症の潰瘍性大腸炎,全大腸炎型,再燃緩解型.発症11年の57歳時,難治性のため,他院で結腸全摘術,回腸直腸吻合術をうけた.以後,通院なく良好に経過していた.術後17年の74歳時,下血を主訴に前医を受診.残存直腸癌を指摘され,当科紹介となった.直腸切断術を行い,病理学的に残存直腸癌moderately differentiated adenocarcinoma,Rb,pA,pN0 stageIIの診断となった.癌周囲にhigh grade dysplasiaを認め,p53陽性であり,colitic cancerであると考えられた.潰瘍性大腸炎に対する回腸直腸吻合術は,癌発生のriskが高く,現在ではほとんど行われていない.過去の手術症例や高齢のために行った症例に対して,術後のサーベイランスが必要であることを示唆する1例であり,文献的考察を加えて報告する.