抄録
症例は77歳,女性.高血圧にて内服加療中であった.約半年前,近医胸部CTにて右横隔膜下に直径11cm大の嚢胞性病変を指摘されるも肝嚢胞として放置されていた.今回,右側腹部から背部痛を主訴に前医を受診したところ,嚢胞性病変の増大を指摘され当科紹介となった.当院CTにて右副腎原発の嚢胞性腫瘍が強く疑われ,尿中カテコールアミン,Vanillylmandelic acid(VMA)の上昇と,131I-MIBGシンチグラフィーにて腫瘍部への集積を認めたことから褐色細胞腫と診断し,右副腎切除術を施行した.嚢胞内容は陳旧性の出血,凝血塊であった.病理組織学的には偽嚢胞を伴う褐色細胞腫であった.
嚢胞性変化を伴う褐色細胞腫の報告例は本邦では自験例も含めて50例に満たず稀であり,特に右副腎原発の場合,肝由来の嚢胞性疾患との鑑別が重要であると考えられた.