抄録
今回,われわれは比較的稀な魚骨による肉芽腫性回盲部炎の1例を経験したので報告する.症例は56歳の女性で,平成19年5月腹痛精査目的に下部消化管内視鏡検査を施行し,盲腸に浮腫状粘膜に覆われた隆起と腸管拡張不良を指摘された.生検の結果は慢性炎症所見のみだった.注腸造影X線検査で回腸末端部から盲腸に狭窄を,CTで同部位に壁肥厚を認めた.Positron emission tomography(以下PET)で回盲部に2-fluoro-2-deoxy-D-glucose集積を認めた為,肉眼型4型の盲腸癌を疑い開腹回盲部切除術を施行した.切除標本では回盲部に著しい壁肥厚を認めた.組織学的検索では小型の多核巨細胞を含む,乾酪壊死のない,多数のepithelioid granulomaを認めた.また,同部位に魚骨と考えられる異物を認め,異物による肉芽腫性回盲部炎と診断した.術前PETで陽性となった比較的稀な肉芽腫性回盲部炎を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.