2009 年 70 巻 9 号 p. 2663-2668
症例は66歳,女性.右肺門部異常陰影の精査目的に当院を紹介された.CTでは右S6に4cmの腫瘤影,S10に5mmの結節影を認め,右B6からの気管支鏡下生検,細胞診で腺癌と診断された.術前評価の頭部CTで髄膜腫が疑われたが,肺の手術に支障はないものと考え,右下葉切除術(DN2a)を行った.
術後の病理結果はS6原発の腺癌であったが,S10の結節は「髄膜腫」であった.その後,頭部の髄膜腫については手術適応なしと判断された.肺癌(p-IB期)に対して化学療法を行ったが,1年2カ月に癌死した.
本症例は原発性肺癌と同一肺葉内に髄膜腫肺転移を認めた極めて稀な症例と考えられる.