日本臨床外科学会雑誌
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症例
Infliximab治療中のCrohn病に腸間膜膿瘍と肝膿瘍を併発した1例
小篠 洋之荒木 靖三野明 俊裕高野 正博内田 信治白水 和雄
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2009 年 70 巻 9 号 p. 2762-2766

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抄録

Crohn病は様々な腸管外合併症を有するが肝膿瘍の合併は稀である.今回われわれは抗TNF-α抗体(一般名:Infliximab以下IFXと略)治療中のCrohn病患者に腸間膜膿瘍と肝膿瘍を併発した症例を経験したので報告する.症例は49歳の男性で発熱,腹痛,腹部膨満を主訴に来院.約2カ月前にCrohn病の診断にて小腸部分切除術を施行し,術後計画的IFX治療導入中であった.腹部CT検査で腸間膜膿瘍を認めたため第15病日に開腹ドレナージ術を施行した.しかし術後10日目に再度発熱,腹痛を認め腹部CT検査にて肝膿瘍の増大を認めたため,エコーガイド下の経皮的肝膿瘍ドレナージ術を施行し軽快した.本症例はCrohn病に対するIFX治療にて易感染状態となり腸管外合併症としての肝膿瘍が悪化した可能性を示唆するものであり若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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