抄録
症例は77歳,女性.胃内発育型の胃粘膜下腫瘍の経過観察中に腫瘍の増大を認めたため手術を行った.手術は腹腔鏡下に4ポートで開始し,術中胃内視鏡にて腫瘍の局在を確認後,切除範囲を決定した.腫瘍周囲4カ所に内視鏡治療用のニードルナイフを用いて腹腔鏡観察下に胃壁を全層切開した.さらにその切開部より超音波凝固切開装置を用いて腫瘍を含めた胃部分切除術を行った.切除部位の閉鎖は,針の対側端に予めループを作製した支持糸を用い,鏡視下に数カ所を全層刺通後,針をループに通し,体外に支持糸を牽引し自動縫合器を用いて一括縫合閉鎖を行った.最終病理ではlow-grade-GISTと診断され,切除断端も充分に確保されていた.術後合併症もきたすことなく退院できた.本術式は胃内発育型の胃GISTに対し,病変部位を安全に確認しながら切除断端を確保し,胃切除範囲を最小限に抑えることが可能であり,縫合も不要であることから簡便かつ安全に行える手技である.