日本臨床外科学会雑誌
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症例
敗血症からDICとなった食道癌術後感染性心内膜炎の1例
赤堀 浩也清水 智治村田 聡山本 寛横田 徹谷 徹
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2010 年 71 巻 12 号 p. 3098-3102

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抄録

感染性心内膜炎(IE)は,菌血症や血栓を生じて多臓器障害を引き起こすため,その予後は迅速な診断と適切な治療に左右される.われわれは食道癌術後低栄養状態下にIEを発症した1例を経験した.症例は55歳食道癌術後男性.抗癌剤治療2カ月後に下痢や味覚障害を認め内服中止,その後も味覚障害に伴う低栄養を認め,約半年後に入院となった.入院1カ月後にMRSA菌血症に伴うIEに,敗血症性ショックとDICを併発したため,集中治療を行ったが多発脳出血で失った.免疫低下患者に発症したMRSAによるIEであったため抗菌薬治療が奏効しなかった.より迅速で的確な診断と治療の必要性を痛感した.

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© 2010 日本臨床外科学会
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