2010 年 71 巻 12 号 p. 3148-3152
症例は59歳,男性.間歇的な腹痛を主訴に受診した.腹部CT検査では小腸腫瘤を先進部とする腸重積を,またダブルバルーン小腸内視鏡ではBauhin弁の口側70cmの回腸に腫瘤をみとめた.以上より,小腸腫瘍による腸重積と診断した.腹腔鏡補助下手術を施行し,腫瘤部位を含む小腸部分切除術を施行した.病理組織学的所見から腫瘤は内翻した真性憩室で,異所性胃組織を含むことからMeckel憩室の内翻による腸重積と診断した.成人腸重積症の原因としてMeckel憩室の内翻はまれであり,その術前診断は困難である.今回,Meckel憩室の内翻による腸重積の本邦報告例を集計し,その成因・診断・至適治療方針などを検討したので併せて報告する.