2010 年 71 巻 2 号 p. 415-419
十二指腸副乳頭部に発生した神経内分泌腫瘍を報告する.症例は37歳の女性.職場検診の上部内視鏡検査で十二指腸副乳頭部に10mm大の中心陥凹とびらんを伴う粘膜下腫瘍を認め,生検で神経内分泌腫瘍と診断された.腹部造影CTでは転移性病変認めず,超音波内視鏡検査で深達度mpと診断された.十二指腸副乳頭部神経内分泌腫瘍の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行した.病理組織学的検査ではglandular patternを呈し,クロモグラニンA・ソマトスタチンで陽性を示した.MIB-1での染色では陽性率2%以下で,核分裂も乏しかった.最大径は7mmで深達度はmp,14aのリンパ節に1個転移を認めた.今回,われわれは腫瘍径が小さく,また核分裂像に乏しいリンパ節転移陽性の十二指腸副乳頭部神経内分泌腫瘍を経験したので報告する.