日本臨床外科学会雑誌
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症例
中心静脈ポートが関与する右房内血栓症と慢性肺血栓塞栓症を有するCrohn病の1例
山田 哲平三上 公治三宅 徹田中 伸之介山下 裕一松井 敏幸
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2010 年 71 巻 2 号 p. 420-425

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抄録

症例は28歳の女性のCrohn病患者.平成18年12月末から38度台の発熱と腹痛を認めていた.横行結腸高度狭窄と腹腔内膿瘍と診断され平成19年1月に前医に緊急入院した.心臓超音波検査(UCG)で中心静脈ポート(CVポート)先端の右房内血栓症を認め,全身状態評価がアメリカ麻酔学会(ASA)分類4度と判断され当院当科へ転院した.慢性肺血栓塞栓症と高度の肺高血圧を認めたため抗凝固療法を3週間先行し,平成19年2月に経皮的心肺補助装置(PCPS)準備下で回腸人工肛門造設を伴う大腸亜全摘術を施行した.術後経過は良好であり,術後3カ月で社会復帰した.術後も慢性肺血栓塞栓症に対して抗凝固療法は継続し,術後1年目の胸部造影CT検査で血栓の消失を認めた.
腸管外合併症としてのCVポートが関与する右房内血栓症と慢性肺血栓塞栓症を有するCrohn病のまれな症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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