日本臨床外科学会雑誌
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症例
神経芽腫に対する放射線療法22年後に脾膿瘍で発症した若年性脾彎曲部結腸癌の1例
田村 利尚日暮 愛一郎秋山 正樹永田 直幹平田 敬治山口 幸二
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2010 年 71 巻 2 号 p. 462-467

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抄録

症例は23歳,女性.生後5カ月時に左副腎神経芽腫に対し腫瘍切除,左腎・副腎合併切除術,術後放射線・化学療法が施行された.22歳時に発熱,左側腹部痛あり,近医受診.脾膿瘍と診断され,保存的治療で軽快したが,3カ月後に再発し,当科紹介となった.神経芽腫の再発はなく,脾膿瘍の原因は同定できなかった.原因精査,根治的治療として開腹手術を施行した.脾彎曲部結腸が脾臓・膵尾部・空腸と一塊となっており,同部を切除した.切除標本で結腸に腫瘍性病変を認め,病理組織学的検査で粘液癌,脾臓・膵尾部への直接浸潤と診断された.放射線照射野内に,10年以上の経過後に癌が発生していること,第二癌の病理組織像,発生臓器が第一癌と異なり,さらには結腸粘液癌であることより,放射線誘発大腸癌と考えられた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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