日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性腹症で発症した子宮留膿腫の2例
宮崎 真一郎丸尾 祐司大澤 浩一郎芹澤 淳那須野 寛也吉田 直樹
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2010 年 71 巻 2 号 p. 533-536

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抄録

短期間に子宮留膿腫を2例経験したので報告する.症例1は86歳.右大腿骨頸部骨折術後で,療養型病院で寝たきり状態.発熱と下腹部痛で当院紹介受診.腹部CTにて腹水貯留と腹腔内遊離ガス像あり,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行.術中所見では子宮前壁に穿孔を認め,膿汁の流出を認めた.腸管に異常を認めないため子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎と診断.子宮摘出,両附属器切除術を施行した.症例2は63歳.脳出血後遺症で療養型病院に入院中,腹痛とショック状態で当院救急搬送.腹部CTで子宮内腔に液体貯留あり,子宮留膿腫と診断.産婦人科で経膣的ドレナージを施行した.高齢化が進む中で,子宮留膿腫は増える可能性がある.高齢女性の急性腹症の原因として本症を念頭においておくべきと考えられた.

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