日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性腸間膜血腫の1例
横田 真一郎小泉 大佐田 尚宏安田 是和
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2010 年 71 巻 2 号 p. 546-550

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抄録

症例は60歳,男性.1999年に腹部膨満感と腹痛で入院.原因不明だが,症状自然消褪した.2007年10月にも再度同様の症状が出現し当院受診した.触診で腹部所見はなく,腹部CTで腹腔内に54mm大の嚢胞性腫瘍を認めた.超音波検査でも同様な嚢胞性病変を認めた.12月腹部CTで32mm大と縮小,境界明瞭で内部均一な低吸収性腫瘍であった.有意なリンパ節腫大はなく,腫瘍マーカーも正常範囲内であった.腸間膜リンパ管腫・重複腸管・GIST等が鑑別診断に挙げられた.2008年1月手術施行.腹腔鏡下観察で腫瘍は可動性が乏しく腸間膜根部付近に存在し,鏡視下手術は困難と判断し,開腹で腫瘍摘出術を行った.術後経過良好で第5病日に退院した.病理組織学的には内部は凝血で,悪性所見はなく,血腫であった.非外傷性で出血原因不明な特発性腸間膜血腫は,非常に稀な疾患であり,文献的考察を加え報告する.

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