日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢摘出術後に肝内結石を発症した遺伝性球状赤血球症の1例
後町 武志三澤 健之脇山 茂樹広原 鍾一石田 祐一矢永 勝彦
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2010 年 71 巻 4 号 p. 1004-1007

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抄録

症例は60歳代女性.26歳で胆嚢結石症に対し開腹胆摘後.33歳で遺伝性球状赤血球症(HS)と診断されるも摘脾は受けず.2007年2月右季肋部痛を主訴に前医受診.著明な貧血と黄疸を指摘され入院.肝内・総胆管結石を認め,加療目的に当院転院.HSに伴う肝内・総胆管結石症と診断し,腹腔鏡下脾摘術(第21病日)施行し,減黄後に拡大肝左葉切除・胆道再建術(第59病日)施行.病理組織検査では悪性所見は認めず.経過良好で第88病日に退院した.HSにはしばしば胆石が合併するが肝内結石を合併した報告は少ない.本症例では胆摘後にHSが診断されたため肝内結石を発症する結果となったと示唆された.また摘脾で減黄後の二期的肝切除術を選択することで肝切除が安全に施行しえた.以上,胆摘後に肝内結石を発症したHSの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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