2010 年 71 巻 4 号 p. 995-999
症例は85歳,女性.便潜血陽性精査のため下部消化管内視鏡を施行されS状結腸に隆起性病変を指摘された.生検による病理組織学的診断は低分化腺癌であった.初診時である2007年11月のCT検査では明らかな肝,肺,リンパ節転移を認めなかった.S状結腸癌の診断にて2007年11月15日S状結腸切除+D2郭清を施行した.最終病理診断は内分泌細胞癌,進達度SM,N0でStageIであった.術後7カ月目のCT検査にて多発肝転移,肺転移を認めた.その後転移巣は急速に増大してゆき術後9カ月で死亡した.大腸内分泌細胞癌は稀であり予後不良な疾患とされている.本症例では手術時StageIであったにも関わらず早期に多発肝,肺転移が出現し急速に進行した.文献的考察を含め報告する.