抄録
今回われわれは門脈浸潤合併膵管癌に対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,門脈合併切除術を施行後,術後補助化学療法を施行し,単発性胃転移を認めた症例を経験した.浸潤性膵管癌の再発は肝転移,リンパ節転移,局所再発が多く,胃転移は極めて稀である.その治療に関する報告は手術例が1例しかなく,その予後に関する報告はない.症例は55歳男性,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受けた3年後に胃転移を認めた.造影CT検査で胃壁に指摘された単発性腫瘤性病変は上部消化管内視鏡検査では粘膜下腫瘍として認めた.そして18F-フッ化デオキシグルコース陽電子排出X線断層撮影検査(FDG-PET)では,同部位に優位な集積を認めた.そこで同病変に対し,胃部分切除術を施行した.さらに術後ゲムシタビンによる補助化学療法を施行した.現在初回手術後5年3カ月生存している.文献的考察を加え,この症例について報告する.