抄録
症例は67歳,女性.主訴は手関節痛,呼吸困難感.Gottron徴候,ヘリオトロープ疹,爪囲紅斑を認め,筋力低下,筋原性酵素の高値により皮膚筋炎と診断した.また高度の拘束性障害を伴う間質性肺炎を認めた.同時に行った悪性腫瘍の検索で直腸S状部癌が発見された.まず副腎皮質ステロイド薬投与にて皮膚筋炎と,それに合併した間質性肺炎に対する治療を行い,耐術可能と判断した段階で,直腸低位前方切除術(D3)・一時的回腸人工肛門造設術を施行した.病理組織学的検査の結果は中分化腺癌SS,N1,H0,P0,M0;StageIIIaであった.術後CPKは正常化し,皮膚筋炎・間質性肺炎ともに速やかに軽快した.術後7カ月目異時性肝転移を切除する際に人工肛門を閉鎖した.皮膚筋炎合併悪性腫瘍の場合,皮膚筋炎がparaneoplastic eventである可能性を十分に考慮し,ステロイド高容量使用例でも全身状態が許せば積極的に手術することが重要と考えられた.