日本臨床外科学会雑誌
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症例
大動脈閉鎖バルーンが有効であった外傷性脾破裂の1例
村岡 孝幸原田 昌明浅野 博昭佃 和憲内藤 稔三好 新一郎
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キーワード: IABO, 脾損傷, 出血性ショック
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2010 年 71 巻 5 号 p. 1305-1308

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抄録
腹腔内動脈性出血の緊急止血には大動脈閉鎖バルーン(以下IABO)が有効である.一方でIABOは非出血部を含めた広範囲の血流を遮断するため,安易に長時間の阻血を行うべきではない.今回われわれは開腹直前にIABOを利用することが有効であった症例を経験した.症例は72歳,女性.自転車乗車時に溝へ転落し,左側腹部を強打した.前医で肋骨骨折と脾破裂を指摘され,当院に紹介された.来院時に出血性ショック状態であり,FASTにてダグラス窩,モリソン窩,脾周囲に液体の貯留を認めた.救急処置室で右鼠径部からIABOを挿入し,大動脈血流の迅速な遮断が可能な状態でCTを施行した.脾損傷III型と診断し,開腹脾摘術を行った.皮膚切開後開腹直前にIABOにて大動脈血流を遮断した.一時止血を得て,良好な視野下に脾摘が可能であった.大動脈血流遮断時間は19分間で,術後合併症を認めなかった.開腹直前の大動脈遮断により疎血時間の短縮化が可能であった.
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© 2010 日本臨床外科学会
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