日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸癌術後腹腔内血腫によるイレウスを契機に診断された血友病Aの1例
今村 史人丸森 健司神賀 正博間瀬 憲多朗岡崎 雅也
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2010 年 71 巻 5 号 p. 1343-1346

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抄録

60歳,男性.心房細動などで当院通院中であった.貧血と便潜血陽性にて大腸内視鏡検査を施行し,横行結腸癌と多発大腸ポリープを認めた.PT,APTT,出血時間は正常であった.まず内視鏡的ポリープ切除術を施行したが,術後出血にて内視鏡的止血術を要した.止血を確認後,横行結腸切除術を施行した.術後15日目に嘔吐し,腹部CTで腹腔内血腫と,その圧迫による大腸イレウスと診断した.イレウス管造影では,CT所見と同様に吻合部付近の狭窄を認めた.術後22日目のCTで血腫の縮小とイレウスの改善を認めた.その後の血液検査で,第VIII因子活性が50%と低下しており,血友病Aと診断された.臨床的に出血傾向を認めた場合,本症も念頭におくべきであると考えられた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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