抄録
患者は52歳,女性.マンモグラフィ検診で右乳房の腫瘤影を指摘され,当科外来受診した.右乳房に8cm大の硬い腫瘤を触知し,画像診断では線維腺腫,葉状腫瘍などが疑われた.悪性病変の可能性を否定できないため,腫瘤摘出術を施行した.腫瘤割面は正常乳腺と境界明瞭で,白色調,充実性であった.組織学的には,導管や小葉の萎縮・減少と硝子化膠原線維の増加した間質から成っており,fibrous tumorと診断された.術後経過は問題なく,乳房の整容性も保たれている.乳腺fibrous tumorはまれな疾患であり,「乳癌取扱い規約・第16版」に腫瘍様病変として,乳腺線維症(fibrous disease)が追加されたが,その中で腫瘤を形成するものがこれに該当すると思われる.本症例のように比較的大きな腫瘤を形成するfibrous tumorがあることも念頭に置く必要がある.