日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腹腔鏡下に複合メッシュによる修復術を行った成人Bochdalek孔ヘルニアの1例
原田 敬介信岡 隆幸及能 大輔里見 蕗乃古畑 智久平田 公一
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 6 号 p. 1451-1456

詳細
抄録

Bochdalek孔ヘルニアは,横隔膜ヘルニアの中で最も頻度の高い疾患であるが,新生児期に発症し治療されることが多く成人例は稀とされている.今回,成人Bochdalek孔ヘルニアに腹腔鏡下で複合メッシュを用いた修復をしえた1例を経験したので報告する.症例は74歳女性.左胸部痛,食欲不振を主訴に前医受診.胸部単純X線写真で左横隔膜の挙上と左肺野の胃内ガス像を,胸腹部CT検査で左胸腔内への胃,大網,脾臓の脱出と嵌頓を認め,成人Bochdalek孔ヘルニアの診断に到った.腹腔鏡下で脱出した臓器の腹腔内への還納とヘルニア門周囲の剥離及び複合メッシュを用いた修復術を行い,術後19日目に自宅退院した.術後8カ月経過し,再発などを認めず順調に軽快している.横隔膜ヘルニアに対する複合メッシュを用いた腹腔鏡下修復術は安全で,低侵襲な手技である.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top