抄録
症例は32歳,女性.妊娠22週の定期検診で右卵巣腫瘤を指摘されたため当院産婦人科に入院し,右卵巣切除術が行われた.精査の結果,妊娠28週の時点でS状結腸癌,右卵巣転移と診断された.外科,産婦人科の協同手術のもとに妊娠29週でS状結腸切除,人工肛門造設術を行った.胎児は子宮内に温存した.術中,術後経過は良好であった.妊娠32週で帝王切開にて分娩後,S状結腸癌3群リンパ節追加郭清術,人工肛門閉鎖術,左卵巣および子宮切除術を行った.母児ともに経過良好で退院した.妊娠中に大腸癌を合併することはきわめてまれであるが,進行した症例が多く母児ともに予後不良であることが多いと報告されている.自験例では関連する診療科が協力し迅速に対応することで母体の根治性と胎児両方の生存の可能性を追求した治療が可能であった.