抄録
症例は89歳,女性.腹痛を主訴に通院中の近医を受診し,腹部CT検査にて遊離ガス像を認めた.以前から血便とCEA高値を指摘されており,下部消化管悪性腫瘍による消化管穿孔が疑われ当院救急センターに紹介された.来院後のCT検査で腹腔内遊離ガス像と腹水を認め,穿孔性腹膜炎と診断されたがショック状態のため全身麻酔・開腹手術が不可能と判断され,保存的治療の目的で入院した.集中治療にて徐々に患者の全身状態は回復した.第18病日の腹部CT検査にて子宮留膿腫が発見され,経膣的ドレナージが施行された.第42病日に行った下部消化管内視鏡にてS状結腸癌と判明し,第64病日にHartmann手術を施行したが,S状結腸癌の周囲に穿孔部位は認めず,子宮底部に穿孔部が存在したため子宮全摘術も施行した.子宮留膿腫穿孔は消化管穿孔と誤られることが多く,高齢女性の穿孔性腹膜炎の原因疾患鑑別に本症も念頭に置くことが重要と思われた.